2023年07月26日
長編戯曲「兎、波を走る」を読む
【NEWS】
— 新潮8月号■野田秀樹「兎、波を走る」(長篇戯曲) ■特集|「坂本龍一」を読む (@Monthly_Shincho) July 3, 2023
話題沸騰上演中のNODA・MAP最新公演「兎、波を走る」の戯曲を7月7日発売の「新潮」8月号に掲載します!
作・演出 #野田秀樹
出演 #高橋一生、#松たか子、#多部未華子 ほかhttps://t.co/imDNrrzk9G pic.twitter.com/0R8T5hXzBt
長編戯曲「兎、波を走る」を読みました。
不思議な会話が飛び交っていました。
一体、何?何が始まるんだろう?
潰れかかった遊園地を舞台に繰り広げられる
劇中劇(ショー)のようなもので「なんともいたたまれない
不条理を感じ取っていただければ」というのが開幕前の
野田秀樹さんからのメッセージでしたが‥‥
だんだんと読み進めていくと‥
アリス、アリスの母、脱兎、その他のキャラクターの登場により
益々混沌とする中、不条理という言葉が行きかいます。
そして、かつて世間を震撼とさせた“あの言葉”を目撃します‥
えっ!そうか‥そうだったんだ‥と
私はあの頃と同じように、想いを彼方へと馳せました。
なるほど‥脱兎‥はそういう役目の兎だったのか‥と
なんとも言えない感情が駆け巡りました。
物語「不思議の国のアリス」ならば
夢の中のアリスは、命に係わるような怖い想いもしたけれど
目を覚ませば、そこはお姉さんの膝枕なのですものね‥
だんだんと隠れたストーリーが顕わになります。
現実の世界で起きた出来事は、不条理そのものです‥
2021年の「フェイクスピア」も話が進むごとに
適切な表現ではないのかもしれませんが
まるで化けの皮が剝がれるように
埋もれ隠れていた、1985年の日航機墜落事故の輪郭が現れました。
舞台の幕開けには事故究明の心臓部である苔色の匣を
monoはすでに持っていて、匣をあけて音を聞いていました。
でも、観客にはそれがまだ、何であるのかわからなかったのですが‥
少しづつ皮を剥ぐようにして進んでいくと
だんだんと根底にあるものの姿が見え始めるのです。
あの匣がコックピットでの会話が収まる
ボイスレコーダーだとわかった時、不覚にも戦慄が走りました。
いよいよ今夜放送!
— news23 (@news23_tbs) July 19, 2023
現在公演中の#NODA・MAP 新作舞台
『兎、波を走る』に出演中#高橋一生 さん #野田秀樹 さんに#news23 #小川彩佳 キャスターが
単独インタビュー#コロナ禍 を経て
改めて気づかされた”舞台の魅力”
舞台でも登場する「#AI」
2人にとってその存在とは?
今夜11時~全国放送です pic.twitter.com/y19ocDxQPq
先日のnews23に出演のおりの野田秀樹さんは
「1955年生まれの自分が生きてきて感じて
ずっと引っ掛かかっているものだけは
舞台として残しておきたい感じが個人的にある」と語られていました。
私と野田さんは同年代の人間ですので
流れる時間の中で見聞きした出来事は
日本において平均的に生きてきた人間ならば
ずっと引っ掛かっているものは、ほぼ一緒なのかもしれません。
今回の「兎、波を走る」の中に見え隠れしながら存在していた
不条理という言葉の行方を追いながら
不条理という言葉が持つ本当の恐ろしさを
改めて感じとることができました。
そして、あの出来事の記憶は多分、普段は忘れてはいても
当時テレビ等で、目の当たりにして見て感じ取った人ならば
細胞の中に染み入るように、充分承知しているはずです。
未だ、終わってはいないのです‥

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