土井友彦
2020年11月13日
「わたしを離さないで」!を観る‥
ネタバレ注意
原題Never Let Me Go(わたしをはなさないで)は
2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが
2005年に発表した衝撃的な長編小説です。
英国では100万部を超える大ヒット作となりました。
「わたしを離さないで」は
イギリスで映画化され、日本では舞台化されましたが
2016年1月期のTBS金曜ドラマにおいて
世界で初めてテレビドラマ化され放送されました。
原作ではイギリスを舞台に描かれていますが
日本に置き換えて森下佳子さんが脚本を手掛けています。
森下さんの脚本、主演に綾瀬はるかさん他三浦春馬さん
水川あさみさんという俳優さんの名前を見て興味をもち
観始めました‥
が‥しかし正直1話2話と観て3話を観るのをやめようか‥‥
と一瞬戸惑いました。
第1話のあの冒頭の場面‥‥看護師姿でもない
ごく普通の私服姿の保科恭子(綾瀬はるか)は
病院の手術室から出され、酸素マスクを曇らせている状態の
土井友彦(三浦春馬)が横たわるストレッチャーを押し
慣れた様子でエレベーターに乗り、ある場で、降ります。
恭子はそこで、看護師から渡された注射器を躊躇なく友彦に打ちます。
そして‥‥曇っていた友彦の酸素マスクは
みるみる透明になりもう曇る事はありませんでした。
恭子は焼却炉と思しき扉を開け
その中へ友彦を滑らすように入れ
焼却と書いてあるスイッチを押します。
恭子は終始一貫流れるような動作で全ての行為を終わらせました。
????何が起こったのだろうと思い観続けていると
陽光学苑という寄宿学校で過ごす子供達の様子が流れます。
そこで起きる出来事に対し私は違和感を覚えました。
しかしそれらの出来事は布石として打たれた事が後でわかります。
その学苑は恭子や友彦が育った学び舎でした。
結論から言います。
そこはクローン人間を健康に育てる場所であり
彼らは病んだ人間に対し臓器を提供する為
段階的な行程を経ている途上でした。
彼らは普通の子供ではなかったのです。
特別な使命を持ちそれを遂行するために
必要な知識と何よりも望まれる人格を身につけるべく
教育を施されていました。
数あるクローンの施設の中にあって陽光学苑は特別な存在でした。
陽光学苑は長い時間をかけ、検討を重ねながら
最善と目されるカリキュラムを作り出し
細心の注意をはらいながら子供達を教育していたのです。
陽光で育った子供たちは学苑を出た後
3年間は提供を免れる特権を持ちます。
それは陽光の卒業生が知的で従順で
自分の置かれた立場に理解があり
良い介護人、提供者になるという実績があるからなのです。
少しでも提供を先に延ばしてやりたいという学苑の想いが
根底にあったからなのです。
なぜかと言いますとこの時点では明かしてはいませんが
校長自身がクローンであったからなのでしょう‥
観ていると気持ちが落ち込むというか‥暗くなると言うか‥
重すぎると言うか‥何とも言えない気持ちになりました。
一体何なんだこれは‥
ドラマの中ではあるのですがあってはならない事が起きている
そう思うと悍ましさと倫理観の無さを覚え辛かったです。
提供、解体、空っぽ、介護人、猶予‥そして‥かれらは天使‥‥
どこまで行っても使命は必ず遂行されます。
臓器提供は一回、二回、三回‥‥
普通は三回‥たまに4回という強者もいる‥でもそれで終了。
友彦は4回の提供で空っぽとなり介護人だった恭子が
任務として行ったのが焼却炉へ友彦入れるという行為だったのです
介護人は同じクローンの中から選ばれます。
まるで戦争中の赤紙が来るように
ある日突然提供と言う使命の赤紙が若い彼らに必ず届きます。
彼らは人間の為に施す臓器のストック的存在‥
短い命‥限られた命にされ中年まで生きた者はいないのです。
人間は牛、豚、鳥の命をもらって自分の糧とします。
彼らはそれと同じような位置づけなのでしょう‥
人間からはぞんざいに扱われます。
彼らは置かれた中で精一杯生きようと
悩み苦しみ時には快楽にふけり
提供の瞬間を迎えるしっかりとした覚悟を得ようと心を整えます。
少なくも彼らは擦れもせずに育ち
自分の置かれた立場を充分に理解し
その時を比較的冷静に迎えているようでした。
観ていて生きるってなんだろう?と思いました。
どのみち命というのは原因は千差万別いつかは消えます。
彼らのような事は絶対にあってはならない事ですが
制約された環境で凝縮された時間の中を
覚悟を決め健気に生きる様は
Xデーがいつかわからず生きている私のような人間にも
覚悟という二文字を意識させてくれました。
彼らの持つ荷物の少なさが全てを物語っていました。
絶望的で救いのないドラマだと思っていましたが
生きる事の意味という普段考えないような事が頭を擡げました。
観て良かったと想います。深くて太い作品でした。
一回観たら忘れることは出来ないと想います。
保科恭子を演じる主演綾瀬はるかさんは
俯瞰して生きる恭子の姿勢を良く表していて
普通ならば感情が間欠泉のように吹き出るような場面でも
自分を律し深く広く捉える様は覚悟の権化のようで
言うなればそれは菩薩の様でした。
綾瀬さんの透明感のある雰囲気が恭子に纏わる事情の深刻さを
より強く感じる呼び水になっていたようです。
三浦春馬さんは
クローンを隔離し健康に育てる陽光学苑という施設内で
世間に揉まれずに育ち感性が子供のままの土井友彦役を
誇張もなくごくごく自然に演っていらっしゃいました。
濁りのないきれいな瞳を輝かせ提供前の一時を世間にふれ生活します。
しかしその瞳の輝きがだんだんと無くなっていく様が
観ていて本当に辛かったです。
水川あさみさんは陽光学苑の子どもたちの中でも少し大人びていて
子供特有のドライな残酷さを持つ酒井美和の役でした。
この美和には正直途中観ていて腹が立ちました。
気分が悪くなるほど嫌になりました。
しかし考えたら無理もないことです。
強そうに見えて弱い美和は恭子に依存していたのです。
仲の良かった恭子と友彦を無理やり引き剥がしたのも
恭子を友彦に取られたくなかったからだと告白し恭子に謝ります。
美和は自分の介護人に恭子を指名し最後の提供の時を迎えます。
手術室に運ばれるストレッチャーの上から
美和は恭子に訴えるのです「わたしをはなさないで!!」と‥
それにしても人間の飽くなき欲望から生じる
自然の摂理に反する行為はもうやめにしませんかと言いたいです。
クローン技術‥この先どうなっていくのだろう‥怖いです。
間違えてしまわないよう祈るのみです。
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— MANTANWEB (まんたんウェブ) (@mantanweb) January 14, 2016
原題Never Let Me Go(わたしをはなさないで)は
2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが
2005年に発表した衝撃的な長編小説です。
英国では100万部を超える大ヒット作となりました。
綾瀬はるか:主演ドラマの原作者カズオ・イシグロと対談 https://t.co/ufOOoL34wT
— MANTANWEB (まんたんウェブ) (@mantanweb) December 22, 2015
「わたしを離さないで」は
イギリスで映画化され、日本では舞台化されましたが
2016年1月期のTBS金曜ドラマにおいて
世界で初めてテレビドラマ化され放送されました。
原作ではイギリスを舞台に描かれていますが
日本に置き換えて森下佳子さんが脚本を手掛けています。
森下さんの脚本、主演に綾瀬はるかさん他三浦春馬さん
水川あさみさんという俳優さんの名前を見て興味をもち
観始めました‥
が‥しかし正直1話2話と観て3話を観るのをやめようか‥‥
と一瞬戸惑いました。
第1話のあの冒頭の場面‥‥看護師姿でもない
ごく普通の私服姿の保科恭子(綾瀬はるか)は
病院の手術室から出され、酸素マスクを曇らせている状態の
土井友彦(三浦春馬)が横たわるストレッチャーを押し
慣れた様子でエレベーターに乗り、ある場で、降ります。
恭子はそこで、看護師から渡された注射器を躊躇なく友彦に打ちます。
そして‥‥曇っていた友彦の酸素マスクは
みるみる透明になりもう曇る事はありませんでした。
恭子は焼却炉と思しき扉を開け
その中へ友彦を滑らすように入れ
焼却と書いてあるスイッチを押します。
恭子は終始一貫流れるような動作で全ての行為を終わらせました。
????何が起こったのだろうと思い観続けていると
陽光学苑という寄宿学校で過ごす子供達の様子が流れます。
そこで起きる出来事に対し私は違和感を覚えました。
しかしそれらの出来事は布石として打たれた事が後でわかります。
その学苑は恭子や友彦が育った学び舎でした。
年内の撮影は昨日で終わり、子供達も撮影を終了しました!
— 金曜ドラマ『わたしを離さないで』 (@NLMG_tbs) December 30, 2015
そして三浦春馬さん演じる友彦の幼少期を演じる中川翼くんもオールアップ♪とそこへ三浦さんが!
記念にお二人の写真を撮らせてもらいました^ ^ #わたしを離さないで#三浦春馬 pic.twitter.com/vqFnUwPSXj
結論から言います。
そこはクローン人間を健康に育てる場所であり
彼らは病んだ人間に対し臓器を提供する為
段階的な行程を経ている途上でした。
彼らは普通の子供ではなかったのです。
特別な使命を持ちそれを遂行するために
必要な知識と何よりも望まれる人格を身につけるべく
教育を施されていました。
数あるクローンの施設の中にあって陽光学苑は特別な存在でした。
陽光学苑は長い時間をかけ、検討を重ねながら
最善と目されるカリキュラムを作り出し
細心の注意をはらいながら子供達を教育していたのです。
陽光で育った子供たちは学苑を出た後
3年間は提供を免れる特権を持ちます。
それは陽光の卒業生が知的で従順で
自分の置かれた立場に理解があり
良い介護人、提供者になるという実績があるからなのです。
少しでも提供を先に延ばしてやりたいという学苑の想いが
根底にあったからなのです。
なぜかと言いますとこの時点では明かしてはいませんが
校長自身がクローンであったからなのでしょう‥
観ていると気持ちが落ち込むというか‥暗くなると言うか‥
重すぎると言うか‥何とも言えない気持ちになりました。
一体何なんだこれは‥
ドラマの中ではあるのですがあってはならない事が起きている
そう思うと悍ましさと倫理観の無さを覚え辛かったです。
提供、解体、空っぽ、介護人、猶予‥そして‥かれらは天使‥‥
“猶予”は勝ち取れるか?『わたしを離さないで』激動の第9話 https://t.co/cyUQd949B0
— 金曜ドラマ『わたしを離さないで』 (@NLMG_tbs) March 11, 2016
どこまで行っても使命は必ず遂行されます。
臓器提供は一回、二回、三回‥‥
普通は三回‥たまに4回という強者もいる‥でもそれで終了。
友彦は4回の提供で空っぽとなり介護人だった恭子が
任務として行ったのが焼却炉へ友彦入れるという行為だったのです
介護人は同じクローンの中から選ばれます。
ドラマ「わたしを離さないで」第1話、“特別な使命”を課せられた子供たちの希望と絶望 - music.jpニュース https://t.co/O0M3lxwq2E pic.twitter.com/hKFcdepK6B
— music.jp (@musicjp_mti) January 13, 2016
まるで戦争中の赤紙が来るように
ある日突然提供と言う使命の赤紙が若い彼らに必ず届きます。
彼らは人間の為に施す臓器のストック的存在‥
短い命‥限られた命にされ中年まで生きた者はいないのです。
人間は牛、豚、鳥の命をもらって自分の糧とします。
彼らはそれと同じような位置づけなのでしょう‥
人間からはぞんざいに扱われます。
彼らは置かれた中で精一杯生きようと
悩み苦しみ時には快楽にふけり
提供の瞬間を迎えるしっかりとした覚悟を得ようと心を整えます。
少なくも彼らは擦れもせずに育ち
自分の置かれた立場を充分に理解し
その時を比較的冷静に迎えているようでした。
観ていて生きるってなんだろう?と思いました。
どのみち命というのは原因は千差万別いつかは消えます。
彼らのような事は絶対にあってはならない事ですが
制約された環境で凝縮された時間の中を
覚悟を決め健気に生きる様は
Xデーがいつかわからず生きている私のような人間にも
覚悟という二文字を意識させてくれました。
彼らの持つ荷物の少なさが全てを物語っていました。
絶望的で救いのないドラマだと思っていましたが
生きる事の意味という普段考えないような事が頭を擡げました。
観て良かったと想います。深くて太い作品でした。
一回観たら忘れることは出来ないと想います。
保科恭子を演じる主演綾瀬はるかさんは
俯瞰して生きる恭子の姿勢を良く表していて
普通ならば感情が間欠泉のように吹き出るような場面でも
自分を律し深く広く捉える様は覚悟の権化のようで
言うなればそれは菩薩の様でした。
綾瀬さんの透明感のある雰囲気が恭子に纏わる事情の深刻さを
より強く感じる呼び水になっていたようです。
三浦春馬さんは
クローンを隔離し健康に育てる陽光学苑という施設内で
世間に揉まれずに育ち感性が子供のままの土井友彦役を
誇張もなくごくごく自然に演っていらっしゃいました。
濁りのないきれいな瞳を輝かせ提供前の一時を世間にふれ生活します。
しかしその瞳の輝きがだんだんと無くなっていく様が
観ていて本当に辛かったです。
水川あさみさんは陽光学苑の子どもたちの中でも少し大人びていて
子供特有のドライな残酷さを持つ酒井美和の役でした。
この美和には正直途中観ていて腹が立ちました。
気分が悪くなるほど嫌になりました。
しかし考えたら無理もないことです。
強そうに見えて弱い美和は恭子に依存していたのです。
仲の良かった恭子と友彦を無理やり引き剥がしたのも
恭子を友彦に取られたくなかったからだと告白し恭子に謝ります。
美和は自分の介護人に恭子を指名し最後の提供の時を迎えます。
手術室に運ばれるストレッチャーの上から
美和は恭子に訴えるのです「わたしをはなさないで!!」と‥
それにしても人間の飽くなき欲望から生じる
自然の摂理に反する行為はもうやめにしませんかと言いたいです。
クローン技術‥この先どうなっていくのだろう‥怖いです。
間違えてしまわないよう祈るのみです。
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wxy812 at 10:07|Permalink│Comments(0)